借金に関する問題

自己破産

破産手続きとは

自分の収入や財産で借金等(債務)を支払うことができなくなった場合に,自分の持っている全財産をお金に換えて,各債権者に債権額に応じて分配,清算して,破綻した生活を立て直すことを目的としている制度です。

財産とは,現金,預金,不動産,自動車,他人への貸金,保険の解約返戻金,将来受け取ることのできる退職金等すべてのものを含みます。

しかし,債務者に各債権者へ配当するだけの財産がない場合には,裁判所は破産手続き開始の決定をするのと同時に,破産手続きを廃止(終了)させる決定をします。これを「同時廃止事件」といいます。

債務者に一定の財産がある場合には,裁判所が破産管財人を選任します。この破産管財人が債務者の財産を換価して,債権者に分配する手続きを行います。これを,「管財事件」といいます。

破産事件は通常,この「同時廃止事件」と「管財事件」に分けられます。

なお,債務者自身が破産の申立てをする場合を「自己破産」といいますが,これに対して,債権者の方から特定の債務者を破産させるよう裁判所に申し立てられることもあります。

破産事件の種類

1.管財事件

債務者に一定の財産がある場合などに,破産手続開始と同時に裁判所から破産管財人が選任されます。
そして,破産管財人が債務者の財産を換価し,これを各債権者に債権額に応じて分配(配当)して清算をするものです。
なお,管財事件は配当ができる場合(配当事件)と配当ができない場合(異時廃止)に分かれます。財産を全て換価しても配当するには不足する場合に破産手続きを廃止(終了)することを「異時廃止」といいます。

【管財事件になるケース】

  1. 20万円以上の財産(現金,預金,生命保険,退職金見込額の8分の1,積立金,不動産,車など)を有している場合
  2. 免責不許可事由がある場合(浪費・ギャンブル,財産隠匿,クレジットなどで商品購入し,これを非常に安い値段で売って換価した,等。)
  3. 管財人による資産調査が必要とされる場合(法人の代表者,自営業者,負債が著しく多い,等。)

 

2.同時廃止事件

債務者の財産が少なく,それをお金に換えても破産手続き費用(破産管財人の報酬等)にも足りないことが明らかである場合,配当などの管財業務は不要となります。
その場合,裁判所は破産管財人を選任せず,破産手続き開始と同時に破産手続きを終了させる決定をします。これを同時廃止事件といいます。
債務者の財産を管理したり,お金に換える手続きは行われません。
破産手続きは終了し,免責手続きに入ります。

免責について

破産手続開始決定(破産宣告)は,支払不能や債務超過であることを宣言し,破産手続きに入るものですが,破産手続きが終了しただけでは破産手続き後に残った債務を返済する義務を免れることができません。
そこで,この残った債務の支払義務を免れるために,免責手続きを行い,裁判所から債務の支払い義務を免除する決定(免責決定)をもらう必要があります。
実務上,破産申立とともに免責を申し立てたとみなすため,改めて免責申立をする必要はありません。

免責許可決定がされ,確定すると,税金や罰金等の例外を除き,破産手続開始決定前の債務を支払う責任がなくなります。

自己破産申立の流れ