ニュース

Q.年金分割の手続きはどのようにすればよいですか?

年金分割のための手続き

  1. 「年金分割のための情報通知書」の取得

    まず,年金事務所等で「年金分割のための情報通知書」を取得します。
    この通知書には分割の対象となる期間(婚姻期間等)や,保険料納付記録などが記載されています。
    ※離婚をしていない場合は,請求していない相手方には情報通知はされませんが,離婚をしている場合には請求していない相手方にも情報通知書が送付されるのでご注意ください。

  2. 分割の割合について話し合いを行う。(合意分割)

    ①分割割合(按分割合)について,話し合って決めます。
    離 婚
    →年金事務所等で「年金分割のための情報通知書」取得。
    →当事者間で話し合い
    →分割割合について合意
    →合意した内容を記載した書面(離婚協議書)を作成。
    ※この場合はご夫婦2人で(または代理人)が年金分割請求の手続きを行う必要があります。
    あるいは,公正証書を作成(公証役場)
    ※この場合は年金分割をしてもらう方1人で請求手続きが可能です。
    →年金分割の請求手続き(年金事務所等)

    ②話し合いができない場合は,家庭裁判所での手続きを利用できます。
    年金事務所等で「年金分割のための情報通知書」取得。
    →家庭裁判所へ申立(審判・調停)
    →審判の確定 または 調停の成立
    →年金分割の請求手続き(年金事務所等)
    ※離婚が成立したものの,年金分割についての合意ができないときは,家庭裁判所へ按分割合を定める審判又は調停の申立をすることができます。(但し,離婚した日の翌日から起算して2年を経過すると申立が出来なくなります。)
    ※離婚が成立していない場合は,夫婦関係調整(離婚)調停の中で,年金分割の按分割合についても話し合うことができます。
    ※家庭裁判所の審判等で按分割合が定められただけでは,年金は分割されません。按分割合を定めた審判や判決が確定した後,または調停・和解が成立した後に,年金分割請求の手続きをしなければいけません。

  3. 年金分割の請求手続きを行う。

    • 〈請求先〉
      ※被用者年金(厚生年金,共済年金)の一元化により,転職などで2つの年金があった場合でも,該当する以下のいずれか一つの機関に請求すれば,まとめて処理がされるようになりました。
      厚生年金        → 年金事務所
      国家公務員共済年金   → 現在勤務している各省庁の共済組合。退職している場合は,国家公務員共済組合連合会
      地方公務員共済年金   → 現在所属している共済組合または,過去に所属していた共済組合
      私立学校教職員共済年金 → 日本私立学校振興・共済事業団
    • 〈請求期限〉
      離婚成立日の翌日から起算して2年
      ※2年を経過する前に家庭裁判所へ年金分割の申立をした場合は,請求期限の特則があります。(2年を経過していても,調停成立あるいは審判が確定した日の翌日から起算して1ヶ月以内に限り,年金分割の請求ができます。)
    • 〈必要書類〉
      調停(和解)が成立した場合 → 調停(和解)調書の謄本又は抄本
      審判(判決)が確定した場合 → 審判(判決)書謄本又は抄本 及び 確定証明書
      合意による場合 → 離婚協議書や公正証書など
    • その他,
      ・請求者の年金手帳,国民年金手帳 又は 基礎年金番号通知書
      ・身分関係(婚姻期間等)を明らかにできる戸籍謄本
      ・請求日前1ヶ月以内に作成された当事者の存在を証明する書類(戸籍抄本,住民票等) ※身分関係を明らかにできる戸籍謄本で足りる場合は不要。

など

年金分割は,離婚しても老後の支えとなるものです。

夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てる際には,年金分割も請求をするのが一般的ですが,年金分割請求をした方がよいかどうかは個々のケースにもよります。

もちろん,年金分割だけでなく,財産分与,慰謝料,養育費なども併せて解決を図り,離婚後に安心して暮らせるよう尽力したいと思います。